7月に読んだ本

小説紹介

「まあ、あんたなんだけどね」

ライ麦畑でつかまえて

J.D.サリンジャー

いつライ麦畑が出てくるんだろ、と思いながら読んでたが、17歳で、高校を退学させられた少年が家に帰らずにぶらぶらする話だった。

勉強はする気になれなくて、将来やりたいこととか、うんと好きなものについてもよく分からない。酒やタバコ、クラブなどいわゆる大人の夜遊びもやってみるけど、時々寂しくなって泣いてしまう。自分のことを知る人のいないどこか遠くに逃げ出してガソスタで働きたいとか、崖から落ちそうになる子供を捕まえるだけの仕事をしたいとか、モラトリアムな感じに共感する。

友達の欠点や不潔さとかを嫌だと思うけれど、人の事は嫌いじゃないから、しばらく会わなければ懐かしく思う。最後は妹が回転木馬に乗る姿を見て家に帰ることにする。

カミサマはそういない

深緑野分

短編集。ホラーが多め。ちょっとファンタジックというか、あやかしっぽい不思議な世界観。

「新しい音楽、海賊ラジオ」が良かった。海面上昇のディストピア。潮騒を聴いていると眠くなってしまう設定。音楽が制限された世界で、新たな音楽を求める少年がラジオを片手に海賊ラジオの電波を探す。見つけたラジオ局にはもう、そこで放送してやろうというインディーズはいないけど、子供たちの歌をラジオで流す。

ドーナツを穴だけ残して食べる方法

大阪大学ショセキカプロジェクト

大学生が、色々な分野の教授に話を聞き、原稿に赤を入れて作られた本。ネットで話題のパラドックスを様々な観点からバカ真面目に考察する。学問面白いなと思える。

時々挟み込まれる世界各国のドーナツに似たお菓子の紹介が面白かった。

舟を編む

三浦しをん

長いこと積読になっていたのを読んだ。

映画、博士と狂人で、オックスフォードの辞書を作る話を見たことがあって、辞書作りの大変さや、途方もない根気強さがいるのは知っていた。

やっぱり大きくて、かつ緻密さが必要なものを作り上げるのは、大変だけどやりがいがあり、達成感を得られるなと思った。

西岡が辞書作りをする人たちに影響を受け、何かに一心に打ち込むことに憧れていくのがよかった。

あの夏が飽和する。

カンザキイオリ

曲を聴くと、人殺しとダメ人間の2人の逃避行だが、小説は、遺されたダメ人間の方の少年が大人になり、彼女によく似た高校生の少女を中心としてサスペンスが繰り広げられていく。

ボカロの小説化なんて蛇足じゃないか、と思うなかれ。500ページ越えの大作で、よくストーリーが練られてる。え、この人とこの人ってそんな繋がりあったの?と驚かされるポイントが多い。

ネグレクトや家庭内暴力、売春、強姦など、不幸な目にあい、誰にも相談できなくて、苦しい思いをする少年少女が出てくる。不幸な時って視野狭窄で切羽詰まっていて、もうこうする以外にどうしようもないんだと思ってしまうが、周りの人に全力で助けてと言って欲しい。そう訴えられているような気がした。

いなくなくならなくならないで

向坂くじら

タイトルは「いなくならないで」つまり「ここにいて」の意味であってる?

死んだ友達が帰ってきて実家で主人公の家族と暮らす話。主人公は友達が死なずにここにいることを嬉しく思うけれど、同時にここからいなくなって欲しいとも思っている。死んだ彼女のことは好きだけど、生きている彼女のことは好きじゃない。愛憎相半ばする感情。

主人公の家族は友達を追い出そうとしない。主人公の姉は家族とあまり仲が良くない。

最後は取っ組み合いの喧嘩をして終わる。

まとめ

6冊。まあまあ。マンガも何冊か読んだし、それは来月書く。

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