6月に観た映画 ~数分間のエールを、シンドラーのリスト、正欲~

映画紹介

「靴の先に花が咲いた 大きな火の花が咲いた」って詞、これって、しゃがんで見つめる線香花火のことだと思っても許されるんじゃないかと思った。

1位 数分間のエールを

久々にこんなに脳みそぶん殴られる映画を見たかも。ヨルシカのMVを時々作っているHurray!、ぽぷりかさんが監督。絵と色彩が好き。画面作りというか、カットのバランスがすごいと思った。

ミュージックビデオを作る高校生と、音楽を辞めた先生。創ることの辛さや面白さが痛いくらい伝わってくる。

先生の顔がめちゃくちゃ好みで可愛かった。

水色、ピンク、黄色の光のズレみたいな表現が綺麗。最後の完成したMVは圧巻。心が動いた。

2位 シンドラーのリスト

監督はスピルバーグ。

実際はシンドラーはこんないい人じゃなかったとしても、それでもいいから、この映画を作ってもらってよかったと思った。残っている功績は本物だし。

基本的に白黒映画なんだけど、ロウソクの炎と赤いコートの女の子、現在の墓参りの様子だけが色がついてた。

ユダヤ人虐殺はまじで人類の汚点であり、アウシュヴィッツは負の遺産。

シンドラーは最初からずっと経営者として自分の利益を追求した。合理的な行動をとるなら、人殺しなんて答えにはならないはず。

3位 正欲

「この世界で生きていくために、手を組みませんか」

「性欲とか、恋愛とか、結婚とか、そういうの全部関わらずに生きていけるんならそうしたい。でも好きになっちゃうの」

YouTuber少年の父が、最悪な人のテンプレのようで嫌いだった。落ちたコロッケを旦那に食わせろと言ったので人間が透けて見えた。子供の性犯罪の危険は仕事柄理解してるのはわかるけど、普通にこだわりすぎて、幸せに生きることではなく、普通に生きることが、生きさせることが目標になっている。多様性をどうしても理解できない人もいるという多様性。

YouTuberの企画でいろいろな性癖に苦しめられるお悩み相談を見たことがあったので、性癖の多様性は知っていた。動画内では明るい変態しかいなかったが、一般に特殊性癖は理解されず生きづらいものだとわかった。

犯罪者のデバイスから子供の画像が出てくると大問題だが、単なる女の裸だったら取り立てて問題にはならない。

取り調べの時、どうせ分からないでしょ、と言葉を飲み込むのが辛かった。「ありえない」は無い。

「普通のことです。いなくならないから」

理解しあえる仲間がいるから私は幸せであり、お前は理解しようとしないから奥さんも子供も離れていくんだ。普通なのはどっちだよ、と言ってるように思った。

その他

FALL/フォール

サバイバルスリラー。怖かった。主題は人生の儚さ。危なくてこんなに手に汗握るのは久しぶり。

ロッククライミング好きだった主人公。クライミング中に夫を亡くし、塞いでいた時にYouTuberの友達に唆され、バカ高いタワーに登ることに。友達の決してどんな時もパニックにならない冷静さがめちゃくちゃ頼もしく、すごいと思った。危険に対する心臓の強さもやばい。

失敗に次ぐ失敗、希望から何度も絶望を味わわされる。夫が実は友達と不倫してたこと、ウザいと思っていたパパを大事にすべきだったこと。いつも隣で励ましてくれていた友達が実は死んでいたというのを明かされたところでめちゃくちゃ絶望した。グロい。

バチくそ怖い顔の鳥と戦って様々な地獄を見て、やっとのことで生還した彼女だが、世間からは立ち入り禁止の塔に入って多くの人に迷惑をかけたバカな女として見られちゃうんだろうな。

好きでも嫌いなあまのじゃく

他人に合わせて生きたり、都合のいいやつとして使われるんじゃなくて、もうちょっと我儘に生きてもいいんじゃないのという話。タイトルなんでこれにした?

自分の意見を言う以前に、自分の意見がなんなのか、やりたいことが分からない、人に合わせるのが当たり前になっていて、言いたいことが少しあった時に飲み込むことが癖づいていることにすら気づいてない子供が多い。

困っている子供というか、家出してきた子供に優しくしてくれる大人ってこの時代にどれくらいいるんだろ。

神隠しにあった子供が成長して帰ってくる話。ジブリの真似してる感が少しある。

アバウトタイム

外国人は首を横に振りながらyearと言うから混乱する。主人公がコミュ障でダサくて共感性羞恥がすごい。イギリスの法廷では現代でもくるくるのかつらをしているのは初めて知った。

タイムトラベルしたらいつ寝るんだろう。記憶はそのままだが、服や体調は当時の状態に戻ると思われる。(お父さんがタイムトラベルで何度も卓球を楽しんでたし)

タイムトラベルは何もかも理想の人生にしてくれるわけじゃなく、1日をもう一度再生し体験することで、人生の大切さを噛み締めることしか出来ない。

未来にはいけないと最初言ってるのに、子供時代まで遡ったりしたら、毎回そこから10年とか同じようにやり直す必要になるんじゃないか?1イベントだけやり直して現代まで戻れるの?

オチとしては、人生の大切さに気づけたからもうタイムトラベルはしてないというものだったが、最初の奥さんをゲットするまでに乱用してその結果得た幸せなので、共感はしづらいかも。

サマーゴースト

40分の短いアニメ映画。loundrawさんの絵が好きでTwitterでずっと見てた。やっぱりエモい絵を描くなあ。

どうして自分だけこんなに不幸なのか、死にたい気持ちを抱える、または、生きたいのに生きれなかった気持ちを抱える青年たち。

4人とも声が落ち着いていて好きだった。

短尺だからしょうがないところもあると思うけど、感情の上げ下げがわりと雑な気がしたし、登場人物3人が最近知り合ったばかりのわりに会話が親しげで若干の違和感がある。3年越しの死体とご対面は色々事件になりそうだと思った。

ストーリーはちょっとうーん、みたいなとこはあるけど、景色や色彩を楽しむ映像としては文句なし。線香花火が綺麗。ここのシーンをこの画角で見せたかったんだろうなという画がたくさんあって美しかった。

雲の上を飛んでる時は、空へ舞う世界の彼方、が勝手に流れた。自分の世代を感じる。

鑑定士と顔のない依頼人

「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む。愛もそうだ」

気難しく、女性と付き合ったことの無い鑑定士は、古い屋敷に引きこもる女性、クレアの依頼を受けて、屋敷の美術品を鑑定する。広場恐怖症の彼女にだんだん惹かれていく鑑定士。

屋敷の地下室で拾うオートマタの部品。女好きの機械工。

鑑定士は若者3人からリンチを受ける。

生涯をかけて集めた女性の絵画のコレクションはすべて無くなり、コレクションルームにはオートマタが残され、録音した自分の声が流れている。

クレアは実はヴィラ(屋敷)の傍のバーにいつもいる小人病の女だった。鑑定士老人は詐欺師に騙され、大切なコレクションを盗まれたという話。

オートマタを巡るミステリかと思いきや、クレアとの恋愛模様をかなり尺を使って描く。クレアという贋作の中にある本物にどれくらい気づけるかという挑戦だったのかもしれない。

最後は来るはずもない想い人を待って一人レストランでメニュー表を見るという哀愁。

プラハのNIGHT AND DAYというレストランがオシャレすぎて、本当にあるなら行きたい。調べたけど無いらしい。U Milosrdných 12, 110 00 Staré Město

アイの歌声を聞かせて

田舎にデジタルなシステムが入り込んでるのがリアルで、将来こんな感じの世界になりそう。

シオンを、サトミを幸せにするようなロボットにしたプログラムは、トウマが幼が小学生の時に作った好きな女の子を監視するプログラムだった。高校になってからも覗き趣味は残っている。彼がある意味シオンをバグらせてお母さんの研究をおかしくしてしまった。世間にあるカメラを乗っ取って個人を監視するプログラム怖すぎる。

褒めてるつもりが地雷踏み抜かれて嫌な思いしてる後藤くんにめちゃくちゃ共感できる。

たまごっちにカメラついてて意識してない時も動画撮られてるの怖いな。スマホがこんなんになったらシンギュラリティに近づくなあ。プライベートな恋愛まで人工衛星から監視されるようになったらもう終わりだよ。映画はエモい感じになっているが、AIが自分の意思的なものを持って成長した結果がこの監視だと思うともっと怖いよ。

エッシャー 視覚の魔術師

だまし絵からエッシャーに興味を持ってこの映画を見てみた。息子たちなどのインタビューからなる彼の人生と作品の紹介。

途中、インセプションの映像が流れた。錯視、パラドックスを扱った人。

スペイン、グラナダのアルハンブラ宮殿を見て、モザイク模様のパターンを自身の作品に取り入れるようになる。

エッシャーは他の芸術家が美しさを求めているのに対して、驚異を求めていた。彼の作品は芸術というより、数学に基づいた試み。

マウリッツ・エッシャー。オランダ生まれ。版画で無限を表現しようとした。

侵入者たちの晩餐

出てくる登場人物全員が、泥棒、脱税、変態など悪いやつだった。真顔で交わされるシュールな会話や、他人の家なのにくつろぐ様子、社会道徳を一旦脇に置いたやり取りが面白い。

10個くらいの章にわかれていて、映画的というよりは、各話ごとに起承転結があり、結には次の話の強いヒキをもってくるあたりが、ドラマ的な感じがした。

アニメ

宝石の国

アニメで完結してるのかと思いきや、5巻くらいまでの内容でおわりだった。

300年も生きてきて、役立たずだと言われ続けたフォス。だるい仕事は嫌、できることしかしたくないみたいな姿勢がちょっとなぁと思っていたが、冬の出来事以降、力を手に入れ、月人との戦争に参加できるようになる。体のパーツを入れ替えるごとに人格も変わっていく。

金剛先生と月人の関係に疑問を持ったところでアニメはおわり。

黒点がロールシャッハテストみたいだった。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

幼なじみグループで、一人死んだ。十年経っても喪失を引きずっている。ヒキニートの高3主人公は、ある日めんまが見えるようになるが、傍から見れば気が触れたとしか思えない。

めんまを成仏させるにあたり、グループは結集するが、めんまを中心として、グループ内でややこしい恋愛感情のもつれがあったと後々判明していく。

ぽっぽだけが惚れた腫れたに関係なくて笑った。

主人公じんたんとめんまは両思いにはなったが、一緒になることはできず、グループ内全員がある意味失恋している。全員純愛で一途で良かった。恋で幸せになるやつはいなかったが、少年時代にケリをつけ、前を向いた。

あなる(あだ名センシティブすぎんだろ)の恋が一番辛そうで、キャラが好きになった。

泣きはしなかったが、まあまあ面白い作品だった。

まとめ

アニメ2本、映画11本。そのうち1本は映画館で観た。

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