世界のほとんどのことを薄らと馬鹿にしている。
6人の嘘つきな大学生
朝倉秋成
「すごい循環だなと思ったよ。学生はいい会社に入るために嘘八百を並べる。一方の人事だって会社の悪い面は説明せずに嘘を重ねて学生をほいほい引き寄せる。面接をやるにはやるけど人を見極めることなんてできないから、おかしな学生が平然と内定を獲得していく。会社に潜入することに成功した学生は入社してから企業が嘘をついていたことを知って愕然とし、一方で人事も思ったような学生じゃなかったことに愕然とする。永遠にこの輪廻は続いていく。嘘をついて、嘘をつかれて、大きなとりこぼしを生み出し続けていく」
私もわりとこう思いながら就活している。
他人のことなんか、どれだけ話したって理解出来るわけないんだ。
月の表と裏みたいに、完全にいい人も完全に悪い人もいない。どこを見せているか、ただそれだけ。一見しただけでは最低な過去も、その人なりの優しさや善意がそう見せているのかもしれない。
本質なんて、仕事してるぶんには必要ないのかもしれないな。
浜村渚の計算ノート 11冊目
青柳碧人
エッシャー出てきた!好きな画家なのでうれしい。無限に敷き詰められる図形や、2次元と3次元が併存するだまし絵を扱っていて面白かった。
ビジュアルを検索して本の横に置きながら読むと面白いかも。
黒の三角定規は文系を馬鹿にし、文系が支配する社会へ不満を訴えるが、浜村渚は文系や社会についてはとくに強く不満を訴えようとはしておらず、ただ数学を愛して居るだけ。だから組織には入らないんだ。
さくらのまち
三秋縋
「俺はきっと、総合的に死にたいのだ」
「おそらく他者というのは鏡で、鏡のない人生においては自己を認識できず、従って自己にまつわる出来事を記憶することもできないのだ」
本当は幸せだったはずなのに、自分の妄想や疑い深さのせいでそれに気づけず、気づいた時には全てが手遅れである。
雪と桜の匂いがする。
まとめ
3冊。良質な作品に出会えた。今読みかけの本があるから、それを読みたい。