11月は寒くなってあんまり家から出たくないので、映画ばかり観ていた。3つランキングを選ぶのがちょっと大変だったけど、今月も良作に出会うことができて嬉しい。冬近し。
以下は好きだと思った映画三選。
1位 トゥルーマン・ショー
自分の生きてきた全部が仕組まれたシナリオ通りだった、今まで感じてきた感情、湧いてきた感情は、感じさせられてきたものだった、と知ったらぞっとする。
トゥルーマンは最後、自分の世界を囲うドームの壁を叩き、天の声が種明かしをする。
最後、「念の為、こんにちはとこんばんはを」と言ってお辞儀をしたのは、監督に対する精一杯の皮肉だったんだと思う。あそこで感情を顕に、どうして閉じ込めたりしたんだ!最低だ!などと怒鳴っていたら、監督の思う通り、ずっと監督が作った箱庭から抜け出せない。
箱庭の中で唯一のリアルが君なんだ、と言う監督に逆らうには、役者になる事が必要だった。
テレビの前の観客は、エンタメの素晴らしい最終回に歓喜する。
めっちゃ面白い映画だった。
2位 Coda あいのうた
めっちゃ泣いた。
ルビーは、母、父、兄全員が耳の聞こえない家庭でただ一人耳が聞こえるから、家族の通訳ばかりをしていた。
音楽の先生に才能を認められ、音大を薦められ、レッスンもつけてもらうけれど、家族でやっている漁師の手伝いもしなくてはならない。
家族は耳が聞こえないから、ルビーのやっている歌がわからない。それどころかルビーが歌を好きなことに疎外感のようなものを感じている。
私は生まれた時から通訳だった。もう疲れたよ。というセリフがどちらの立場のことも考えてしまって辛かった。お母さんの、ルビーも耳が聞こえなかったら良かったのに、というセリフが刺さった。
ルビーの発表会で無音になる演出が切なかった。発表会から帰った後、お父さんがルビーの喉を触りながら音を感じようとしているところで涙腺が耐えきれなかった。
3位 イエスマン “YES”は人生のパワーワード
最初の男が完全に無気力に生きてる私すぎて怖かった。特に映画観てるところ。
男は、絶対イエスって言え!という明るい宗教のセミナーに参加してから急にやりたいこと、友達が増える。
なんかガツンと来た。
イエスじゃなくてノー「嫌だ!」も言えるようになったシーンで鳥肌立った。
「積極的に人に関わってもいずれ相手は失望する、と自分を卑下してた。でも今は君と分かち合うものがたくさんある」
おかしいテンションでしばらく生きてみたいね。
その他
チャッピー
ロボットの造形がかなり好みだった。長い耳が動いて、怖がってる時犬みたいに伏せるのが可愛かった。純粋で素直なチャッピーは、悪いことを教わったら素直にそれをやってしまうけど、メイカーに最初に犯罪をしちゃダメ、と教育されていたから、それを守ることで一線を超えることは無かった。子供の教育って環境がとても大事。
死んだ人間の意識をロボットに同調させて生き延びるみたいなラストで、そこはちょっとハッピーエンドなのか?となった。
ロボットが死の概念をかなり初期に理解して、「死にたくない」という感情を持ったことで繋がったラストだけど、人間がロボットになったらだいぶ面倒な問題が増えそうだし、敵は多いと思う。今を生き延びたとして、その後どうしようとか考えてなさそうで、ちょっと微妙な終わりだった。
チャッピーはまだ未熟で、死というものをなんとなく理解はしてるけど、それを受け入れるところまで成熟はしてない、まだそこまで人間に近くないな、と思った。周りの人間は、受け入れる方向で教育したら良かったような気が個人的にはしている。そっちの方が人間臭いと思わない?
フォレスト・ガンプ
フォレスト・ガンプという一人の男の生きた話。
1970年代くらい?ベトナム戦争とかその辺の時代。女性のファッションでなんか昔だなとわかる。
足が悪く、IQも低くていじめられるような子だったけど、ある日走れるようになり、アメフトで活躍したり、兵士になったり、ピンポンで活躍したり、エビ漁師になったり、州横断で有名人になったりする。最後は幼なじみのジェニーと結ばれる。
ものすごい人生だと思うけど、フォレストの素直で威張らない感じのおかげで、まるで普通の男の山あり谷あり人生を観たような気になった。
バス停でバスを待つ間、ベンチに座った人に向かって人生を語るという構成がちょっといいなと思った。
走ってる時に急に止まって言った「帰ろう」で、藤井風さんの『帰ろう』を思い出した。
バトル・ロワイアル
走れ。で終わるのが「?」だった。
グロい。中学生の演技上手い。
グロいシーンでクラシックが流れてんのがイカれてる。そういえば、ハンニバルでもグロシーンとクラシックの組み合わせをしてた。親和性あるのかも。
やたら嬉々として殺人する方の転校生の説明が全然無いし、生き残った女の子とキタノの関係もよくわかんなかった。
キタノのキャラとかテレビのお姉さん、監視室の様子とかが最近観てたダンガンロンパと近しいものを感じた。
なかなか衝撃的で、デスゲーム系作品ブームの先駆けというのも大いに頷ける作品だった。
仮面病棟
前半、色々な行動が訳分からなくて眠くなりかけた。医者なんだから怪我してる人いたら手術室が使用禁止でも助けようとしてよ。あと、足音してるのに話してるのやめろ、早く隠れろ。
後半謎が解けてよかったけど、テンポがゆっくりだと思った。違法臓器移植は医療系の話でありがちなオチだなと思った。
殺人を犯した女の子は街中に放たれた。
チャーリーとチョコレート工場
4人の系統の違うクソガキを見れて、小さい頃見た時は不快だったけど、今みるとちょっと可愛げがあるかもしれない。
親は自分の子がだいぶヤバい目に遭ってるにしては落ち着きすぎじゃね?リスのシーンで、親父さっさと柵を乗り越えて娘を助けろやと思った。ウンパルンパが踊ってるシーンはカオスでほんのり狂気を感じる。4人の子供はこれからどうするんだろ、と思った。
家族が一番大事、と堂々と言い、ウィリーウォンカが家族と上手くいってなくて会いに行くのが怖い時、いっしょに行く、と言ったチャーリーはガチでイケメン。
ウィリーウォンカは親父と最後仲直りするけど、その親父ではなくチャーリー家族とつるんでいる。
タクシードライバー
これが銃社会かぁと思った。
アメリカン・ニューシネマ。アンチ・ハッピーエンド。
解説してる人の文章を読んでやっとなんとなくわかる感じ。トラヴィスはベトナム帰還兵だから、長年戦場で戦い、やっとの思いで帰ってきたのに、社会に居場所がない、教養もなく、世間知らずで女性にも相手にされないという孤独感を抱えていた。ニューヨークは治安が悪く汚れていて、トラヴィスは自らの手で世直しをしたいと思った。
こめかみに自分の銃の形にした指先を当てて、プヒュウと言う有名なシーンを見れてよかった。
ハチとパルマの物語
アルマの主人まじでクズだと思った。自分のために家族を捨てる。パイロットの夢のために少年を捨てた親父とそのおじさんが話してるシーンで一番泣いてた。親父、お前が言うかとは思ったけど、少年のことを通じて、親父も多少成長してるなと思えて、どうにかして本当にパルマに愛を注いでいる少年の元にパルマを残しておけないかと財布を取り出すのが良かった。
パルマはそんなクズな主人のためにずっと待っていた。でも、最後、クズさに流石に気づいて少年と暮らすことに決める。
愛してるなら手放すな、という話。
特に犬の場合、純粋すぎていつまでも待ってしまうし、その点、少年でも同じ。
パルマってガチでいたんだな、と後で調べて知った。顔が可愛い。
犬という点においては、日本とロシアの関係ってとても良いなと思った。マサルとか。
スタンド・バイ・ミー
クリスって子がイケメンだった。
小学生にとって、親に嫌われてるかもという気持ちや、大人に信じて貰えないことってものすごく辛いことだったなぁと思った。
4人のその旅の後がリアルで良かった。
めっちゃいい友達だと思った。ケツをキックしあうシーンが好き。
金ローとかで途切れ途切れには知ってたけど、しっかりと最初から最後まで集中して観たのは初めて。
8 Mile
世界で最も売れたラッパー、エミネムの半生の伝記的作品。すいません、映画観るまで知らなかったです。貧困とか差別とかの問題をベースにしてる。
ラッパー界隈ってカッコつけてるけど全然陽キャ感がないな。何がカッコイイのかわからん。数秒置きにファックって言う。
リズムに乗ってさえいれば悪口雑言を言っても許されるというのがなんかなぁ、と思ったけど、社会的に普段は言えない胸の内の不満とかを表現に変えられるというのがラップの存在の一面でもあるのかなと思った。
下手なラップにはブーイングするけど、上手いものはちゃんと評価する観客のノリがいいなって思った。
未知との遭遇
いろいろバージョンがあるらしく、私が今回観たのはファイナル・カット版。
さすがSF映画の古典。
後のスターウォーズとか、ETみを感じた。
岩陰から覗くところが、あ、インディージョーンズで見たことある構図!と思った。
面白かった。
最後、男は宇宙船に乗るんだけど、男の子供や妻から見たら、急に親父が狂って山とか作り始めて失踪する怖い話に他ならない。山に引かれていく様子の描写が上手くて怖いくらいだった。
宇宙人やUFOの造形が、まさに、という感じで、原点だなあと思った。
レミドドソ。
イヴの時間
ブレードランナーって言葉がセリフの中にあった。がっつり意識してる。でも劣化版だ。もっとエモとかに振り切ったらいいんじゃないかと思った。それならブレードランナー観る。
いらんところに尺をとるのがあんまり面白くなかった。主人公がちょいちょいキモイ。
ザ・ファブル
後半だけ見覚えがあった。テレビで見たことがあったのかも。
これからファブルがどうやって暮らしていくのか気になった。普通に馴染めなければ(人を殺せば)、上司に殺されるし、普通に馴染めたらそのまま殺し屋はクビ。そんな疑問を解決するラストとして、人を殺さずに普通に暮らしてる人を助ける、普通に馴染みながらも殺し屋のスキルを活かすという答えが、ありがちだけど良かった。
誰も死なないハッピーエンドじゃなくて、悪いことをしたやつはケジメをつけられたり呆気なく撃たれたりしてて良かった。
乱闘のシーンが楽しかった。
ダンケルク
基礎知識が無かったから見終わってから歴史を勉強した。取り残された兵士を救うために民間人までもが協力した、ヨーロッパの人なら誰でも知ってるほどのものすごい作戦だったそうだ。ちょっと教養が増えた。
あんまりグロシーンが無くて、音が上質というか、こだわって撮られてるなと思った。
海岸で待っているたくさんの兵士のために自分の帰還を諦めて次々に敵の飛行機を撃ち落とした男が、すごくかっこよくて、切なかった。
民間人の次男が、弟が死んだけど、その事を突き飛ばした兵士に言わなかったのが強いな、と思った。お前のせいで俺の弟が死んだ、と言ったところで状況は悪くなるばかりだし、兵士も戦争で混乱しているということを理解して、感情を抑えたのが辛かった。
最後の新聞の書きぶりが、「帰ってきて偉い!我々はまだ戦う」だったのが、まあ戦争だからしょうがないんだけど、地獄を見た兵士的に戦意復活はしないだろと思った。
ハンガーゲーム
貴族が道楽のために貧民に殺し合いをさせるデスゲーム。テレビ放送だから、エンタメとしての面白さがある人が注目され、贔屓される。
観客がロマンスに喜ぶという理由で、彼氏いるのに特に好きでもない男とテレビによっていい感じにくっつけられたとこで終わってモヤモヤ。何となく前にテレビに出た時のことを思い出した。テレビに対する皮肉なのかもしれない。
虎とかルールの理不尽さとか、マジかよ笑と思った。それこそデスゲーム系の定番だけど。
三本の指を立てるハンドサインはニュースとかで実際の暴動において見たことあったけど、この映画の方が先らしく、この映画に影響されて人々はやってたらしい。
ドラマ
左ききのエレン
漫画は読んだことあったけど、ドラマを改めて見て良かった。
役者が解釈一致。10話分だから、わりとコンパクトにカットされてるとこや、全く出てこなかったキャラもいたけど、すっきりしてて良かったと思う。
天才は確かに存在して、凡人には決して到達できない所にいる。天才になれなかった人も生きていかないといけなくて、その苦悩とかが本当に上手く描かれてたと思う。
前を向ける。
まとめ
映画17本、ドラマ1本。
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