進撃の巨人の感想を徒然綴る

映画紹介

先月テスト期間中にアニメを一気見したので、その感想をだらだら書いていく。見終わってすぐにメモ帳に書きなぐった感想だから、確実に正直ではあるけれども支離滅裂かも。

見終わって最初の感想

頭が熱い。放心している。
ここ四日くらいほとんど廃人のようになって一心にアニメを観てた。食事も着替えもめんどくさかった。テスト勉強が時折頭をちらついたけど、スマホの画面に釘付けだった。見て良かったと思う。見る前と、私の人生は少し変えられた。言葉足らずだけど、すごい作品だった。
感想を書こうと思うんだけど手がうまく動かない。感動、なのかな。心臓が気持ち悪い。考察をしようと思うんだけど、今はこのぼうっとした頭で最初の感想を殴り書いておきたい。

だれが幸せになった?争いは生まれ続けて、結論は「戦え」だ。人類八割を殺した後、エレンがミカサに首をはねられてようやく巨人の力が世界から消えた。でも終わらない。

まっ平な外の世界を見て見たい、というエレンの馬鹿な欲望、「自由」という言葉を盲信し続けた結果がこれか。外の人類みんな殺さなきゃ自由になれない。外の世界にも思い描いていた自由なんかなくて、がっかりして世界を壊した。
友達に長生きしてもらうため、とか言ってたけど結局自分がまっ平な世界を見たかったから。

ミカサはエレンが好きだったけど、あれが終わりでいいのか。いやよくないけどしょうがない。だって最後の最後まで、エレンが明らかにバケモンになってまで殺せなかったんだから。もう少し前にミカサがエレンを殺すことに同意していたら、と思うけれども、それをしなかったからこの物語はこんなに長くなったわけで。これはミカサのラブストーリーなんだろうか。

最後に調査兵団のみんながエレンのもとに向かったのは、ハンジさんとか多大な犠牲を払ってエレンに近づいたのは、人類を救うとかより、エレンに殺戮を止めさせたいだったと思う。友達だから。なんてエゴな動機だ。
戦争は結局私利私欲。自分のためなんだ。私利私欲を捨ててみんなが人類全体のためを思うなら、争いは起きない。
自分の家族、大切な人を守りたい、大切な人だけを守りたいと思うから、巨人の力は脅威なのであって、巨人の力は武器なんだ。巨人の力がなくなってもまだ憎しみは残る。ため息しかでない。ため息で息が荒くなるくらい。

ガビとファルコの話は憎しみという感情の連鎖を本当に生々しく描いていた。苦しかった。サシャをに大切な人を殺されて、それを憎んでサシャを殺して、サシャに助けられた少女に憎まれて、でも、その少女の家族に優しくしてもらって、後悔して、少女を助ける。許し合うなんて人類には最初からできない、ということが前提の話だった。争いは終わらない。

この一連の殺戮はエレンの性格上避けられないことだったのかな。エレンは憎しみをすべての原動力にしてその感情を「駆逐してやる」に変える。この話にでてくるほとんどの人は諦めない。自分のために、自分の同胞のために、仲間を殺した人を殺してやる、と思う。自分より前に死んでいった人たちに報いるために自分も死ぬ道を選ぶ。自分より前の人たちの行動を引き継ぎたいという強い意志。
壁外の人類を八割と言わず全部殺していたらどうなったかな。パラディ島だけは守られたかもしれないけど、エレンの仲間たちは、これでよかったのか、という気持ちが残る。やっぱりエレンを止めなくちゃいけなかった。

エレンはだいぶ頭がおかしい馬鹿だったと思う。エゴしかない。まじもんのエゴの塊。世界に勝手に期待して、失望して癇癪を起して殺戮。友達にそれを止めてもらうことを期待している。どうしてこうなったのか、人格形成はどこでこんなことになってしまったのか。やっぱり世界の仕組みだったのか。エレンが生まれてきた時代が、タイミングが、環境が、エレンの祖先の人たちのしたことが、エレンの祖先の人たちがされたことが、その人たちの持っていた能力が、こんなことを引き起こしてしまったのかな。憎しみしかない世界を作ってしまったのかな。

エレンが死んでも、人類がかつての二割になっても、憎しみは終わらない。あーあ。人間ってやっぱりこうなのか。ちょこちょこ人間の絆や愛情のシーンがあったけど、最後には憎しみと暴力しかない。そういうことなのか?作者は世界を嘆いているのかな。

感動したこと

1から3期くらいまでは、理不尽と絶望と無力が非常に上手に描かれ、その中にある微かな変化を希望的に描き、どんどん明かされていく未知のことに続きが気になってしょうがなかった。裏切りや、裏切りから見えてくる新たな事柄に目が離せなかった。

自分をまきこんだ大きな事のために、希望と信じるもののために死んでいく兵士や、そのドラマが見たかった。絶望、絶望、また絶望。でも微かな希望を信じて立ち上がる姿が悲劇的でもあり、強くて、彼らが一歩すすむごとにまた次を見たいと思った。

わかってる。こんな感想文はだれにでも書ける。でも正直に書きたい。作者さんは本当にすごい。これをアニメにしたたくさんの人にも感謝したい。本当にすごい作品だった。すごいしか言えない自分の語彙力に絶望するよ。

4期以降くらいからは人類vsわけのわからない怪物ではなくて、壁の中に住んでいる人間vs壁の外に住んで壁内の人間を恐れている人間の戦いとなった。それぞれの人間がそれぞれの立場に立って、自分だけの大切なものを守るために憎しみを力に変えて他者を傷つけ続ける。愚かだけど、絶対許せない。だから終わらない。

自由の奴隷。理想だけが頭の中に太って、現実の世界がその理想と違ったから、理想にしようとした。自分の頭の中の理想を、そのままの世界を認識するなんて発想にならなかった。「進み続ける」諦めない性格のせいで世界を壊すはめになった。少年漫画的な性格なのに破滅的な物語。

運命がすでに決まっている世界で、自由な意志決定は可能なのかという話?

私が好きな物語の構成の一つ、嫌なことだらけの日常から非日常の世界へと迷い込み、試練を乗り越えて成長し、日常に戻って来る話だと思う。

三島由紀夫の金閣寺

このアニメを観終わった後で三島由紀夫さんの『金閣寺』という小説を読んだ。小説の感想の詳しくは1月の小説紹介で書いたけど、主人公がエレンに似てるな、と思った。

美しいと崇拝していたものの見方が時によって変わったり、手が届きそうになったり離れたりする。最後はその崇拝していたものを自分のために破壊してしまう。

進撃の巨人が好きな人は、ぜひ読んでみるといいんじゃないかな。アニメ、漫画と絡めて読書感想文のネタにしたらいいものが書けそうな気がする。

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